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WEEK 02 松島大介

様々な分野で活躍される方に
MHLで選んだギフトについて聞いたインタビューコラム。

人気のコーヒーショップPADDLERS COFFEE(パドラーズコーヒー)を営む松島大介さん。バリスタの加藤健宏さんと一緒にポートランド発のスタンプタウンコーヒーを提供し、老若男女が集う空間や場づくりを実践している。さまざまな年代の方と接客を通してコミュミケーションを取ることが好きと話す松島さんが選んだ、大切な人に贈るギフトとは。

−クリスマスの季節ですが、贈り物はよくされますか?

僕は高校と大学の7年間をアメリカのポートランドに住んでいました。プレゼントを送ることが自然な環境だったこともあって、贈り物は大好きなんです。アメリカ人は記念日でなくても、花を買ったり、プレゼントしたりするカルチャーがあります。日本の形式的なお土産とはまたちょっと違うもので、ただその人のことを思って贈るギフトというか。日常生活に身近にあることだったので、とてもいいなと思っていました。海外に住んでいたときは、日本にいる母親に花を贈ることもありましたね。

−欧米では自然なスタイルなんですね。

はい、ただ環境にかかわらず、僕自身はそういった贈り物をする行為そのものが素敵だなって思っていて。今でも何をあげようか、とプレゼントを考えるのが好きなんです。それはお返しを求めているというよりは、僕の一方的な思いで、それで完結していればいいかなって思っています。

−それは特別な日に限らずですか?

そうですね。母の日や誕生日以外でも、「ミモザの日」だからミモザのお花を送ろうとか。毎日「今日は何なにの日」というのがあると思いますが、例えば花の日みたいなちょっとしたことも好きなんです。僕はロマンチストなのかもしれません。相手に喜んでもらえることがとても嬉しくて。その感覚は飲食で接客をしていることも関係あるのかもしれないですね。

−確かに、相手を思う気持ちやホスピタリティが根底にあってのギフトということはありますよね。

子供たちからおじいちゃん、おばあちゃんまで来てもらえる環境を自分のお店では作りたくて、それでコーヒー屋を選んだということもあります。自分の家に遊びに来てもらう感覚で店をやっているから、綺麗にして、いい環境を整えて迎えたい。まあ、ギフトとはちょっと違うんですけど、そういう他人に喜んでもらえることが自分の喜びという感覚は仕事にもつながっていると思います。

−松島さんがプレゼントを選ぶときのこだわりはありますか?

似合うか似合わないかはもちろんですが、贈りたい相手の性格や生活を想像します。例えば、僕の奥さんは気に入ったものでないと着ません。こだわりがあればある人ほどプレゼント選びって難しい。でも商品券を渡すのは嫌なんですよね。これだったら着てくれそうだなとか、相手のことを考えたもの選びはやはり楽しいです。逆に貰う場合でも、例えば、1年前くらいに話していた会話の内容を覚えていてプレゼントをしてくれるとか、すごく嬉しい。それが数百円の文庫本でも「あの時の会話を覚えててくれたんだ」と思えるから。それは金額ではなく気持ちなんですよね。

−今日選ばれた煉瓦色のニットは奥様に。「質感とこのフィットだったら着てる感じだから」とおっしゃっていましたよね。

はい、彼女は古着がとても好きで、素材やディテールにものすごくこだわりのあるタイプなので、あれこれ想像しました。素材の生産地やデザインの元ネタ、タートルネックなのかクルーネックなのか、あのデザインだったら着るかなとか……。このセーターも色味が絶妙であまりなさそうだなと思いました。彼女はいつもリラックスしたスタイルが好きなので。

−お母さまに選ばれたものは?

母にはピスタチオ色の手袋とマフラーのセットにしました。母は毎日家から駅まで自転車に乗っているので、これからの季節にちょうどいいなと。手袋は、手首のところが意外と隙間が空いてしまって、冷たかったりするんだけど、これは手袋の長さがしっかりとあるので温かそう。あと、色味も可愛いと思いました。別に選んだ理由は言っても言わなくてもいいんですけど、相手に伝わった方がいいと思います。もちろん押し付けがましくはしたくないのですが、例えば、これを受け取った母が、『「自転車に乗るときいいよ」って言ってたなあ』と思ってくれたら嬉しい。適当に選んだわけではないというのをわかってもらった方が、相手も大切にしてくれるはずだから。

−やはり、松島さんの視点は温かいというか、受け手の生活を想像した中でものを選んでいますよね。

相手の生活にどこまで寄り添えるかはとても大切だと思うのですが、まあ、僕自身は、仮に使ってもらえなくても喜んでくれたらそれでいいと思っていて。プレゼントは仰々しくなく、そのくらい気軽に贈りたいと思っています。

FOR MY WIFE

FOR MY MOTHER

PADDLERS COFFEE / BULLPEN 代表 松島大介

東京都中野区生まれ。2013年、ポートランドを代表するコーヒーロースター「STUMPTOWN COFFEE ROASTERS」の日本唯一の正規取扱店として「PADDLERS COFFEE(パドラーズコーヒー)」を共同代表の加藤健宏と共に設立。2015年4月から現在の渋谷区西原に旗艦店を構えたのち、2018年4月には同じ西原に家具と雑貨のお店「BULLPEN(ブルペン)」もオープンする。

https://paddlerscoffee.com/

PHOTO : NORIO KIDERA
TEXT : CHIZURU ATSUTA

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