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    Yuko Watanabe 渡辺有子 / 料理家 毎回、さまざまなシーンで活躍するその道のプロフェッショナルを写真家・平野太呂さんが密着し、マンスリーで紹介する連載コラム「LIFE NOTES」。その人の何気ない日常を切り取ります。

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    JACKET ¥48,000   SHIRT ¥23,000 TROUSERS ¥27,000   BELT ¥25,000   SHOES ¥13,000

    *掲載している商品の価格は、すべて本体のみ(税抜)です。

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    FRESCO GLASS BOWL L ¥11,000   S¥5,800

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    SHIRT ¥23,000 TROUSERS ¥27,000   BELT ¥25,000   FRESCO GLASS BOWL L ¥11,000   YOKO YAMANO TALL BOTTLE ¥17,000  YOKO YAMANO DRINKING GLASS ¥11,000

    *掲載している商品の価格は、すべて本体のみ(税抜)です。

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    平野太呂(以下H):有子さんは、中学校時代からの先輩。
    渡辺有子(以下W):ですね、太呂のお姉ちゃんと12歳のときからずっと一緒で。
    H:うちの姉と同級生。
    W:太呂の妹が生まれたとき、私知ってますから。
    H:古い付き合いですね。同じ学校の出身でこうやって撮影してるの不思議ですね、って言われることないですか?
    W:でも、私たちの回りって多いですよね、昔からの友達。
    H:そうですね、だからあまり意識したことはないかも。確か、マーガレット・ハウエルって、高校生の時はもうありましたよね?
    W:大学の時じゃない?
    H:2020年の東京五輪で50周年らしいです。
    W:じゃあ、やっぱり高校生の時はあったのかな。
    H:当時も買ってたりしてました?
    W:してました、してました。私、普段着の印象が昔からほとんど変わらないですし。
    H:マーガレット・ハウエルもイメージ変わらないですよね、昔から。少しずつアレンジを入れているんだろうけど、ちゃんとブランディングが出来ている感じ。本人がちゃんとディレクションしているから。いい意味で変わらない。有子さんは、どんなイメージ持ってます?
    W:正統派な感じがしますね、マーガレット・ハウエルは。きちんとしているっていうか。デザインももちろん、見た目の印象も。女性らしさもあるけど、メンズっぽい部分もあってすごく好きなんですよ、そのマニッシュな感じが。スタイルが昔から変わらないのがすごくいい。
    H:上品だけど、決してイギリスのロイヤルな感じじゃない。そこがいいですよね。
    W:自分をちゃんと持っている人が着ると似合う服なのかなって思います。女性がなんかこうあんまり女性過ぎないっていうか。
    H:わかる気がします。女性を売りにしている人じゃない感じ? 
    W:うん、そういう意味でも好きかも。
    H:ところでこのサラダは?
    W:ルッコラとフェンネルのサラダ。
    H:ルッコラって花も食べられるんですね。
    W:新鮮なものはね。甘さがあるでしょ?
    H:ほんとだ、美味しい。全体が爽やか。この器も良い感じ。
    W:frescoっていうブランドで、日本の作家さんが一つ一つハンドメイドで作っているんだけど、これは、マーガレット・ハウエルがスペシャルオーダーしたものなの。
    H:種類も豊富ですね。
    W:このフェンネルは大丈夫? 結構香りが強いので苦手な人が多いから。
    H:大丈夫。セロリっぽいけど、もっと弾力があるっていうか。
    W:セロリに似ていますね。これは材料切って、オイルとビネガーをかけるだけだから簡単。でも、混ぜ合わせ方が重要かも。量が違うと全然味のバランスが変わるから。
    H:そうですよね、バランスですよね。切り方とか素材の大きさとか。これはなんのハーブティ?
    W:ベルベーヌ。フランスを代表するハーブティで、一般的にはレモンバーベナかな。こっちは、スウェーデンを拠点に活躍するYOKO YAMANOさんのグラスに入れてみました。食後に飲むとすっきり。胃もたれとか防いでくれるみたい。
    H:優しい味ですね。そういえば、有子さんが今日着てるのもそうだけど、マーガレット・ハウエルってカラーレスのシャツが多いような気がする。
    W:私、あまり襟のあるシャツを着ないんです。襟なしか、もっと装飾されているようなもの以外は。いわゆる“Yシャツ”の襟がちょっと苦手。
    H:ほんと? 着てないですか? 
    W:うん、あんまり。着なれているかどうかっていうのもありますよね。私が着てきた今日の服はどうですか?
    H:すごく馴染んでますね。特にブルーの色使いとか。ジャケットの感じとか。
    W:あんまりジャケットとか、ブルー系の色は着ないので、新鮮な感じでしょ? 中学も高校も制服がなかったし。だからジャケットは着なれてないのよね。
    H:素材感とか有子さんっぽいし、似合っていると思います。
    W:見た目では、似合わないかな、って思っても、着てみると意外としっくりくるっていうのが面白いんです。

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    H:そうそう、お店はいつオープンですか?
    W:4月1日。もう、来週。すぐです。
    H:国内の作家さんのものとかも置くんですか?
    W:そう、置く予定です。
    H:アトリエでも置いているものとか?
    W:あえてアトリエにあるものは置かないつもり。このあいだ買い付けでパリに行ってきて、そこで手に入れたものも並べる感じです。季節ごとにオリジナルの瓶詰も作って並べる予定。ただ雑貨屋にはしたくないので、色んな物を置くつもりはないですね。作家の器と少し生活回りのもの。
    H:有子さん今まで買い付けとかしたことあります?
    W:初めて。実際に販売する商品になると思うと全然違いますね。自分で欲しいものなんだけど、自分のものにしたいとか全くそういう発想は生まれなくなります。
    H:そんなに違うものなんですね。買い付けの基準は?
    W:いつも使っているものの延長線上にあるものっていうか。でも、売れそうだからって趣味じゃないものを選んだりはしてないです。自分が使いたいものが基準ですね。
    H:この買い付けてきたナイフの持ち手は象牙?
    W:動物の角って言ってました。19世紀のものみたい。カトラリーのほかに、買ってきたのは、お皿とかテーブルクロスとか。あと、グラス類をいっぱい買ってきて。自分用だとこんなに沢山はいらないけど、全部買うから安くして、みたいなのが買い付けの楽しさでもありますね。
    H:お店には山本祐布子さんの絵も飾るんですよね? 出会いは?
    W:彼女も学校の後輩。大人になって街で偶然再会して「絵を描いてます」って、そこから。
    H:すごい出会いですね。
    W:彼女の絵に対する気持ちとか、モチーフにしているものがすごく共感出来る。彼女の「料理をするように絵を描きたい」という言葉が、私のなかで腑に落ちるっていうのがあって。純粋にドローウィングも好きだし。それでアトリエ持ったタイミングで入口に飾る絵を描いてもらおうって決めたんです。今度は販売がする場所が出来たから、なにか一緒にできないかと。額装をリムアート(POST)の中島さんにお願いして、それをお店で販売するつもりです。
    H:ディスプレイではなく商品として?
    W:そうそう、商品として。ディスプレイも兼ねているんですけどね。1点ものの原画で、売り切り。売れたら、また次の作品を飾る。ある程度枚数を決めてプリントをする話も出ましたけど、原画の良さを知ってほしくて。
    H:なるほど。彼女、自分の子供の絵描いてるじゃないですか。僕はすごく好きです。
    W:かわいいですよね、ほんとに生活を楽しんでいる。そう思うと、マーガレット・ハウエルの服とか似合いそうよね。
    H:確かに、実は僕もちょっと思ってました。

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    JACKET ¥48,000   SHIRT ¥23,000 TROUSERS ¥27,000   BELT ¥25,000   SHOES ¥13,000

    *掲載している商品の価格は、すべて本体のみ(税抜)です。

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    H:内装ここ2、3日ですごい進んでますね。
    W:ようやく。でも、内装に入るまでは長かったです。
    H:それはやっぱりデザインに時間がかかったてことですか?
    W:決まるまで何度も模型や図面のやりとりをさせてもらって。
    H:今回のお店もインテリアデザインは、アトリエと同じワンダーウォールの片山正通さんにお願いしているんですよね?
    W:アトリエでもお世話になったし、次もお願いできたらなと。でもとても小さな物件だし、予算もないし、無理だろうなって思っていたんです。
    H:もともと片山さんとは繋がりがあったんですか?
    W:10年くらい前に片山さんが手掛けた物件で、メニュー開発があって、そのプロジェクトでお会いして。密にやりとりしていたので、それで親しくさせてもらうようになって。
    H:そうなんですね。お店は棚がこう凹んでいるように見えましたけど。
    W:壁に凹んだような厚い棚を作ってもらって。大きなカウンターを漆喰で仕上げたから、すごい重みのある空間になったかも。白はやめて黒いお店に。
    H:新鮮。イメージにないかも。
    W:白にしたくないからってわけじゃないです。カウンターを昔のかまどをイメージして漆喰で作りたくて。それで和のテイストも入れつつ。アトリエはエッジが効いた空間だから、お店は、エッジをなくして土壁っぽく丸みをもたせて。でも、すっごく狭いのでびっくりしますよ。最初2人ぐらいしか入れないんじゃないかって。
    H:そんなことないでしょ、10人は入りますよ。有子さんがお店に立つことも?
    W:あります。料理教室や撮影の無い日は立つことも。でも多分週に1、2回。
    H:いいですね。どんな気分ですか?
    W:どんなだろ、まだイメージできないですけど。ここが自分の店なんだっていう実感もない。教室や撮影がないときは、ここでお店番ですね。
    H:お店で軽く飲めたりするといいのに。
    W:確かに。立ち飲み屋にちょうどいいかも。バーにもよさそう。
    H:完成したら遊びに行きます。

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    PROFILE 渡辺有子/料理家

    雑誌の料理ページや広告などで活躍中。
    その傍ら、多くの書籍も手掛けている。
    著書に「すっきりていねいに暮らすこと」「私の好きな料理道具と食材」(ともにPHP研究所)「365日。」(主婦と生活社)、「献立と段取り」(マイナビ)、「サンドイッチの時間」(マガジンハウス)などがある。
    自身が手掛けるライフスタイルショップ『FOOD FOR THOUGHT』がオープン。
    http://520fft.tumblr.com/

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    PROFILE 平野太呂/写真家

    1973年生まれ。武蔵野美術大学映像学科卒。2000年よりフリーランスとして活動を開始。
    スケートボードカルチャーを基盤にしながらも、カルチャー誌やファッション誌や広告などで活動中。
    主な著書に『POOL』(リトルモア)『ばらばら』(星野源と共著/リトルモア)『東京の仕事場』(マガジンハウス)、フォトエッセイ『ボクと先輩』(晶文社)、『Los Angeles Car Club』(私家版)、『The Kings』(ELVIS PRESS)がある。
    東京都渋谷区上原にて2004年からNO.12 GALLERYを主宰している。