MHL. UPCYCLING FABRIC

目的や明確な用途を有するワークウエアやユニフォームをデザインコンセプトにマーガレット・ハウエルの哲学に基づいたモノづくりを行うMHL.から、反毛(はんもう)を用いたアップサイクル生地のシャツとジャージ―がローンチ。

MHL.ではコレクション毎にブランドの持つ哲学や美意識、時代性に応じて開発した独自の生地を用いてモノづくりを行なっている。MHL.はオリジナルで生地を作るので、開発から店頭に製品が並ぶまでにはサンプル製作や生地試験といった工程を要し、少なからず残反が発生する。その残反に新たな目的や用途を与えられないかというアイディアから反毛を用いたアップサイクル生地の製作は始まった。

生地を細かく裁断、粉砕し、ワタ状に戻して新たな糸を作りなおす技術、反毛は明治時代から脈々と日本の繊維工場で受け継れてきた。コレクション毎に企画、製作された色とりどりの生地が新たな糸へと生まれ変わるまでには実に様々な工程を要する。本企画では日本国内の高度な技術を有する愛知県・一宮市の紡績工場の協力のもと、残反のカット、粉砕を行なった反毛ワタをオーガニックコットンと混ぜ合わせ、ナチュラルな色合いの杢糸を製作。

精紡を経て新たな魅力を纏った杢糸を円錐型のコーンに巻き取ったところで製作の舞台は兵庫県・西脇市にある製織・加工工場へと移る。一本の糸が一枚の布になるまでにも幾つもの工程を要する。ここでは染色からサイジングと呼ばれる糊付け、整経、製織、加工仕上げといった一連の作業を職人たちが大掛かりな機器を操りながら手際よく進めていく。広大な土地に建つ工場一杯に設置された様々な機械と人の手を渡り一本の糸が集約され一枚の布へと形を成していく。

これまで倉庫で眠っていた残反がもったいないの精神を持つ日本に根付く技術によって新たな役割と価値を纏った製品へと生まれ変わる。MHL.に根付く文化と現代のモノづくりにおける美意識の一つの解釈として反毛のアップサイクルシリーズが誕生した。

FILM MAKER: TSUTOMU MUROFUSHI
WRITER: TAKAHIRO ITO
PHOTOGRAPHER:KIYOTAKA HATANAKA (MODEL, STILL)

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