HATASHIKKI FOR MARGARET HOWELL

石川県加賀市・山中温泉を拠点に、漆器全般を扱う工房として歩みを重ねてきた畑漆器店に、マーガレット・ハウエルがスペシャルオーダーしたストレージとトレイが登場します。日々の生活空間に、静かでモダンな彩りを添えるコレクションです。

山中漆器の始まりは、約400年前の安土桃山時代。山中温泉上流の真砂に木地師が定住し、豊かな森林資源を生かして木地を挽いたことが始まりとされています。江戸時代に入ると、会津や京都、金沢から漆塗りや蒔絵の技法を取り入れながら発展。木を薄く美しく挽く高度なろくろ技術と、繊細な塗りの技術によって、全国に知られる漆器産地となりました。
現在では、挽物木地の生産で全国一を誇り、全国の漆器づくりを木地から支えています。熟練の職人たちは、時代に合わせて進化を遂げながら、その技術を今も受け継いでいます。

畑漆器は1930年の創業以来、山中漆器の伝統を大切にしながら、現在は漆器に加え、木地の質感を生かした木製品の製造も行い、現代の暮らしに馴染むものづくりを続けています。素材には、主に北海道や東北で自生する「栓(せん)」を使用。やわらかく温かみのある質感と美しい木目を持ち、使い込むほどに愛着が深まっていく素材です。

製作においては、木地の精度を整える工程から仕上げに至るまで、細やかな配慮が重ねられています。なかでも塗りは、見た目の美しさだけでなく、使い心地や耐久性にも関わる重要な工程です。縁の仕上げや厚み、重さのバランスといった、一見控えめな要素が使い心地を大きく左右します。

「長く使ってもらいたいから、目立たない部分にも手を抜かない」

そうした姿勢のもと、丁寧な工程の積み重ねが、最終的な質感として表れています。

今回のアイテムは、日本のおもちゃや道具をモチーフに、現代の暮らしに無理なく馴染むかたちへと整えられています。木のやわらかな質感と手仕事の繊細さが、日常の中で自然と手に取りたくなるような、静かな存在感を生み出しています。

PHOTOGRAPHER:TOMOHIKO TAGAWA