LIFE NOTES

様々な分野で活躍する方々を訪ね、キャリアを振り返り、日常を顧みながら、日々の生活で大切にしていることが語られる対話を記すLIFE NOTES。

今回登場するのは、空手の「形」で世界選手権2連覇や東京2020オリンピック銀メダルなど輝かしい実績を残してきた清水希容さん。今年5月に競技の一線から退き、新たな空手道を歩む決意をした彼女の素顔に迫ります。

空手の「形」が人生の糧に

空手を始めたのは9歳の頃。兄が通っていた道場に初めて見学に行った際に「形」をやっている女性たちを見て、「かっこいい」、「美しい」と思ったのがきっかけです。そこから先輩たちを真似したり、先生から教えてもらった形ができるようになることが純粋に楽しくて続けていましたが、年齢を重ねるにつれて、空手の歴史の深みや先代の方々が繋いできてくれた考え方などを探求していくことにより面白みを感じるようになっていきました。

形は “見えない相手”との攻防。繰り出す技ひとつひとつに意味があります。攻撃技なのか受け技なのか、間合いは近いのか遠いのか。それらすべてをリアルに、かつ美しく表現できてこそ高い評価が得られるのです。 東京2020オリンピックは競技生活の中で最も素晴らしい経験でした。金メダルという目標を達成することはできませんでしたが、みんながあの舞台を成功させるために必死にやってきた、その熱量を肌で感じられたことがこの先の人生に活きてくると思っています。

空手家としての衣服へのこだわり

十人十色という言葉があるように誰一人同じ体の人っていないですよね。身長や体型、筋肉の質はもちろん、肌感覚まで。だから私自身、ちょっと引っかかりが気になるなと思ったら袖を削ってもらったり、ミリ単位で道着の改良を重ねてきました。どういうふうにしたら最良のパフォーマンスが出せて、かつスタイルも良く見えるか。そのバランスには誰よりもこだわってきたつもりです。

そのせいか練習や試合以外でも体にフィットしやすくて速乾性もあるトレーニングウェアを着ていることが多いのですが、マーガレット・ハウエルさんが作るミズノのウエアは日常着なのにそのような機能性があってすごく着心地がいいです。私のように体型のバランスが特殊なアスリートが着ていても、座ったときに膝が引っ掛かったりどこかが突っ張るようなことがなく、本当にストレスなく着られています。マーガレット・ハウエルさんの服作りへのこだわりや歴史、彼女の職人のような考え方をお聞きしましたが、空手も歴史を大事にしながら根本は変えずに時代とともに変化をしていこうとしているのでその点で近いものを感じました。

世界に向けて空手の魅力を発信していきたい

空手を通じて世界中の人たちと繋がることができ、いろんな国や地域の文化、人々の考え方などに触れられたことが私にとって大きな財産です。今後はその経験を活かして、空手の魅力をもっと広く知ってもらえるような活動をしていけたら。また競技のシーンからは退きましたが、生涯をかけて空手と向き合っていくために、技術を磨き続けて「誰も真似できない」と言われるところまでつき詰めていきたいです。

清水希容
空手家 ミキハウス所属
1993年大阪府生まれ。小学3年時に空手を始め、高校時代に「形」で日本代表入り。2014年、2016年と世界空手道選手権を連覇し、2013年〜2019年まで日本空手道選手権を7連覇。東京2020オリンピックでは女子形で銀メダルを獲得。2024年5月19日の特別演武をもって競技者を引退。今後は選手時代に培った経験を生かして様々な分野で空手の普及・発展に貢献していきたいと語る。

DIRECTOR / STYLIST:HIDERO NAKAGANE
PRODUCER:YUKI KOIKE
CINEMATOGRAPHER:SHOYA URA
PHOTOGRAPHER:YUSUKE ABE
EDITOR / WRITER:KAI TOKUHARA

*価格はすべて消費税込みです。

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