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    モダンさのなかに、リラックス感。

    メンズウェアの持つ機能性と美しさに惹かれ、良質な素材、高い技術に基づいた恒久的なデザインを発信し続けるマーガレット・ハウエル。受け継がれるべき伝統と、現代的なエッセンスが融合したそのワードローブは、常に着る者に本物の醍醐味を味わわせてくれる。そしてベーシックの安心感がありながら、コレクション毎にシルエットやカラーリングで新鮮な発見を与え続けている。

    2017 年の春夏シーズンは、マーガレット・ハウエルらしい上質なリネンやコットン素材を中心に、デザインの持ち味であるモダンさはそのまま、これからの季節にふさわしいリラックス感のあるコレクションとなっている。象徴的なアイテムは、まだ肌寒い春先のスタイリングに重宝する機能素材GORE-TEX® のロングコート。洗練されたシルエットと、薄く軽やか、そして共地の収納ケースも付属し実用性を両立している。さらに肩の力を抜いて羽織れるホップサックウールのジャケットや、BARACUTAとのコラボレーションブルゾンなど、この時季ならではのライトアウターは装いを盛り上げる存在として是非ワードローブに取り入れたい。素材の風合いを引き出したニットが着こなしを寛いだムードに導き、清白なシャツは凛としたたたずまいが春の新鮮な空気感にフィットする。

    カラーリングは、イエローやカーキのアクセントカラー、そしてツートーン配色がポイントに。これらがカジュアルなハンドニットやタイに落とし込まれ、ネイビーとグレー、エクリュといった基本色に映えている。インディゴカラーのシャツやボーダーのカットソーなど、季節感のある色柄を活かしたウェアもスタイリングに心地よい刺激を加える要素だ。端正なジャケットにカジュアルなデニムの合わせといった、緩急のあるアイテム同士の組み合わせもマーガレット・ハウエルならではのあしらい。

    芯の通った機能美とモダニティのなかに、クリーンな春らしさを感じるコレクション。それはデザインとしてだけでなく、プロダクツとして優れた物作りへのこだわりの現れだ。背筋がピンとのびるような心地よい緊張感と、緩やかなフィーリングとともに、新しいシーズンをはじめよう。

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    コレクションピースでもあるGORE-TEX®ファブリックのコート。長めの着丈でスタイリッシュな表情ながら、実用的な収納ケースも付属。
    COAT 68,000YEN   CUT & SEWN 19,000YEN   TROUSERS 36,000YEN   SHOES 52,000YEN

    ※全て消費税抜きの価格で表示しています。

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    洗練感溢れるジャケットはFOX BROTHERS のホップサックウールを使用。ナチュラルな生成色のデニムで素材の組み合わせと色のコントラストを味わう。
    JACKET 63,000YEN   KNIT 27,000YEN   CUT & SEWN 12,000YEN   TROUSERS(MHL) 26,000YEN   SHOES 93,000YEN

    ※全て消費税抜きの価格で表示しています。

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    インディゴカラーが印象的なシャツ。同系色のボーダーカットソーを合わせて、春らしく且つスマートなレイヤードスタイル。
    SHIRT 28,000YEN   CUT & SEWN 13,000YEN

    ※全て消費税抜きの価格で表示しています。

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    ハイカウントな素材とシックなグレーカラーが特徴のBARACUTAとのコラボレーションアイテム。モダンなシャツやトラウザーズとも好相性。
    BLOUSON 70,000YEN   SHIRT 26,000YEN   TROUSERS 36,000YEN

    ※全て消費税抜きの価格で表示しています。

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    カーキ×ホワイトのさわやかな配色に、スカーフを加えて。トラウザーズはオリジナルのカーキセルヴィッチを採用したEDWINとのコラボレーションデニム。
    KNIT 58,000YEN   SCARF 15,000YEN   TROUSERS 26,000YEN   SHOES 87,000YEN

    ※全て消費税抜きの価格で表示しています。

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    英国らしいタフな風合いのコートは、撥水性のあるワックスドコットン。今季のアクセントカラーであるイエローのニットを効かせて。
    COAT(MHL) 60,000YEN   KNIT 58,000YEN   TROUSERS 39,000YEN

    ※全て消費税抜きの価格で表示しています。

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    遊び心のあるダブルフェイスのニットタイ。ラウンドカラーのシャツでボーイズライクに装う。
    SHIRT 26,000YEN   TIE 16,000YEN

    ※全て消費税抜きの価格で表示しています。

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    JOHN SMEDLEY
    ジョン・スメドレー

    2世紀以上の伝統と、更なる革新
    世界にその名が轟くニットウェアの雄。


    伝統的な手法、たしかな技術にひとかたならぬこだわりを持つマーガレット・ハウエルは、多くの英国ブランドとの取り組みを続けている。そのなかでもファインゲージニットの老舗、ジョン・スメドレーは、長きにわたり密接に関わりのあるブランドのひとつだ。

    もともとは綿花の紡績と生地作りを行っていたジョン・スメドレー。1784 年にピーター・ナイチンゲールとジョン・スメドレーの共同経営でダービシャー州リーミルズで創業し、18 世紀末にはニッティングによる靴下やアンダーウェアの製造を手がけるようになる。工場のあるリーブリッジ付近は、小川が流れ、動力と一定の流水が手に入る理想の場だったという。

    1800 年代に入り、2 代目社長にジョン2 世が就任。彼は最高級の素材使いと一貫生産体制を方針に掲げ、優秀な職人を増やし、事業を拡大。1930 年頃からアウターウェアの生産にも着手し、その名は英国から世界へと拡大、現在ではハイゲージニットの代表的存在となった。マーガレット・ハウエル以外にも多数のブランドが彼らとのコラボレーションを望む。

    どうしてジョン・スメドレーのニットはそんなに素晴らしいのか。それは他に類をみない素材と技術のクオリティだ。製品は主に、春夏はシーアイランドコットン、秋冬はニュージーランドメリノウールが使用されているが、ともに厳選された最高品質の原材料のみを採用。それらを30 ゲージという網目の細かなニットに仕立てるため、仕上げには熟練の職人の手作業が要求される。工場には古くからの編み機と最新のマシンが混在するが、いずれにせよ、その精密なニットは最終的には人の目と手を介し世に出されていくのだ。そのこだわりゆえ、数量・納期など徹底的な生産管理も行われている。

    従業員は家族代々、親子で働いている人も多いという小さな街。時代に合わせ進化はすれど、古くからの技術、そして物作りへの真摯な姿勢が堅く受け継がれている。何よりそれがジョン・スメドレーの品質の源となっているのかもしれない。

    P13( : 左上)訪れる人をまず迎えてくれるのは、大きなブランドネームが記されたレンガ造りの工場。すべて100 年以上前の建物。(右上)現在は3 台のみ稼働しているという最古の編み機。端までフラットに編めるのが特長。代表的なアイテムはこれで作られる。(左下)洗いを終えたニットを機械で裏返し、形をととのえていく作業。長年働いている従業員は、皆、穏やかながら見事な手さばき。(右下)工場内には至るところにライトボックスが設置されており、各工程ごとに仕上がりを細かくチェックしている。

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    頑なに守りぬく、手作業へのこだわり。

    古いものは創業時から、200 年を超えるという建物と、地元密着ならではのフレンドリーさが穏やかな雰囲気を醸し出しているジョン・スメドレーのファクトリー。職人らしく淡々と作業しながらも、声をかけると明るく対応してくれる人々の姿が印象的だった。現在、250人が働くこの工場では、60~70 年物という英国伝統の編み機と、日本のメーカーの現代的なマシンがそれぞれ稼働。古い機械はひとつのパーツを一度に12 枚分編むもので、定番の30 ゲージのニットが中心。現代的なマシンにはホールガーメントの編み機もあり、さらに細かなゲージや、複雑な形にはこちらが適しているのだそう。こうして新旧の機械がデザインや編み方によって使い分けられている。この日はちょうど、マーガレット・ハウエルのアイテムも目にすることができた。新しいほうのマシンでメンズのピケT シャツ、ウィメンズのスリップオーバーに使われるトリムが次々に編まれていく。

    「私たちが大切にしているもの、それはクラフトマンシップと優れたデザインです。そのためには古くからの伝統を守る一方、新しいものを作る革新的な技術も積極的に取り入れています」。

    ブランドのフィロソフィーについて、デザインマネージャーのジャッキーさんはそう語る。さらに「仕上げは手作業」というのも徹底したこだわりで、ボディと袖の繋ぎ合わせ、ネックのカッティングなどは熟練した職人の手に委ねられている。例えば機械により編みのヨレが生じたとしても、ネックを切る工程を手作業にすることで、その歪みをととのえて仕上げることができるのだ。プレスや検品作業も、ベースは機械でありながら人の目によりひとつひとつ進行。これはひとつ、驚いたエピソードだが、畳みと封入作業に一度は機械を導入したものの、人のほうが正確だからと手作業に戻したことがあるそう。ジョン・スメドレーの物作りは、それくらいどの工程にも妥協を許していないのだ。

    ジャッキーさんは勤務43 年目。当初からマーガレット・ハウエルのニットウェアに携わっている。

    「マーガレットとは1982 年頃からの付き合い。彼女はハイクオリティのニットを作るため、私たち老舗との関わりを求めていました。以来、30 年以上も仕事をしているけれど、いつも近い距離感で、一緒にものを作っている感覚があります。彼女は今でも伝統的なアンダーウェアのスタイルを大切にしていて、品質、色へのこだわり、そしてまず、人々がどんなものを着たいのか、そこから服を考えている。世界中の人が満足するスタイルを徹底的に作る、そんな彼女のクリエーションを私たちは心からリスペクトしています。品質に対して誰よりも熱心なことを知っているから、私たちのスタッフも、マーガレット・ハウエルの服を作るときはいっそう尊敬を込めて作業していますよ」。

    その言葉に表れているように、マーガレット・ハウエルとジョン・スメドレーには、「素晴らしいものを作りたい」という共通の思いのもと、お互いを尊重し合った、たしかな信頼関係があるのだ。

    P14:(左上)ネックを切る作業は、仕上がりを左右する重要な工程。メインのカッターである彼女がほとんどを手がけているそう。(右上)テーブル上には、ブランドやデザインごとにまとめられたネックの型紙が。何箱にも及ぶ量の多さに驚く。
    (左下)仕上げのプレス作業。赤い光線の部分に各パーツの位置を合わせ、ミリ単位まで正確に行われている。
    (右下)ウィメンズのニットへのタグ付け作業。このあと、畳みを経てパッケージされていく。

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    ネックにゆとりのあるハイゲージのタートルニットは、リラックスしたスタイルに。
    KNIT 36,000YEN   TROUSERS 39,000YEN

    ※全て消費税抜きの価格で表示しています。

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    なめらかなシーアイランドコットンのVネックカーディガンは、シーズン毎にアップデートされる定番アイテム。
    KNIT 35,000YEN   SHIRT 33,000YEN   TROUSERS(MHL) 26,000YEN   SHOES 52,000YEN

    ※全て消費税抜きの価格で表示しています。