COLUMN

SPRING SUMMER 2004 - JANUARY

マーガレット・ハウエル
アーコールチェア 復刻に向けて

マーガレットが初めての小売りショップをオープンしたのは25年以上前。その後ファッションとビジネス、子育てを巧みにこなしてきました。そして彼女の二人の子供が独立した今、新たなスペース感覚とデザインの幅広い世界を探求する自由、その他興味あることに集中する時間が持てるようになったと言います。ウィグモア ストリート ショップをオープンして以来、もともと興味のあったプロダクトデザインを展開するスペースを得たこともあり、マーケット リサーチは欠かせない仕事のひとつとなりました。場所を問わず、自分の目と感覚で見つけ出したミッドセンチュリー製品の数々には思い入れもひとしお。さらに彼女はそれらがインスピレーションを与えてくれるだけでなく、ノスタルジックであるとも感じています。ヒールズ製の生地を張ったものかもしれず調査中のソファーベッド、マーケットで見つけたルシアン・デイのプリントファブリック、幼い頃、両親が使っていたものと同じアーコールのダイニングチェアとテーブル、それはどれも自宅やショップなどの建物に合うスタイルの家具を見つけていった過程で、ごく自然に集められた物ばかりです。また、マーガレットはイギリスの戦後のモダニスト デザイナーたちに長年敬意を払ってきました。彼らの革新的なデザインと実用性を融合させた作品をエキシビション形式で発表したいと考えており、今回発売されるスタッキングチェアとバタフライチェアはどちらも1950年代後半のデザインで彼女が初めて買ったアーコール社の製品と同じ型です。この時代のアーコールの魅力はクオリティーとクラフツマンシップの融合、ストレートだがエレガントなデザインアプローチが特徴です。

アーコール社とウインザーファニチャー

1888年にイタリアで生まれ、20世紀初頭にイギリスに移住してきた家具デザイナー ルシアン・アーコラーニは、1920年にハイ・ワイコムにアーコールファニチャーを設立。同地はイギリスの椅子作りの中心地で、後に蒸気による曲げ木の大量生産技術を完成させ、1947年にウインザーシリーズを発表しました。伝統的な製法とモダンなデザインを融合させた堅木のコレクションは軽やかでシンプル、さりげないデザインで戦後に建てられた小さな家やモダンなインテリアに難なくフィットしました。シンプルさから生まれたこのシリーズは、蒸気により弓のように木を曲げるテクニック「ウインザーボウ」が特徴となっています。また堅木のため他の家具メーカーが、製品化は不可能と考えていた美しい木目のニレの木を、思い通りに扱う技術も発見しました。

今回発売される1958年デザインの「バタフライチェア」はオリジナルのウインザーフレームで、ニレ材のソリッドな背もたれたとシートをジョイントさせたウインザーダイニングチェア。厚みのある合板にエレガントなカーブをつけることに成功した画期的な製品です。このチェアはクッションなしでも使えるようデザインされ、ニレ材の合板のシートと背もたれはナチュラルカラーのワックス仕上げになっています。
1957年デザインの「スタッキングチェア」は垂直に積み重ねられるようデザインされたニレ材とブナ材のシンプルな木製チェアで、軽量かつ非常に丈夫。ソリッドなブナ材で作られた背もたれの支えと上部は、背中全体をサポートできるシェイプにデザインされています。

アーコールは家具を作る際、創設者自身の実用的な経験と工芸的な家具作りに対するアプローチへの高い評価に基づくユニークな姿勢を持っていました。その哲学は現在も彼のファミリーに受け継がれ、伝統ある職人技術と最新のテクノロジーを融合させたユニークな製品作りを行っています。



BARRY ERCOLANI, LUCIAN B ERCOLANI AND LUCIAN R ERCOLANI
左から:
BARRY ERCOLANI, LUCIAN B ERCOLANI AND LUCIAN R ERCOLANI
AT THE ERCOL SAWMILLS, AMERSHAM 1963.
ウィグモア ストリートでのエキシビジョン 1
ウィグモア ストリートでのエキシビジョン 1


セカンドハンドのウィンガーチェア
セカンドハンドのウィンガーチェア


アーコール社の資料 1
アーコール社の資料 1
ウィグモア ストリートでのエキシビジョン 2
ウィグモア ストリートでのエキシビジョン 2


復刻版のスタッキングチェア
復刻版のスタッキングチェア


アーコール社の資料 2
アーコール社の資料 2
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