AUTUMN WINTER 2005 - JULY
この秋のイメージフォトのインスピレーションソースはあるエキシビションで目にとまった一枚の写真でした。
昨年12月の来日時、当時東京に住んでいた娘のミリアムが母に見せてあげたいとリサーチしていたのが、神奈川県立近代美術館で開催されていたジャン・プルーヴェのエキシビションでした。
フランス人のジャン・プルーヴェ(1901-1984)は、20世紀におけるもっとも多才で革新的な創造者の一人に数えられています。
彼が多くのクリエーターに賞賛され影響を与えている理由は建築、デザイン、エンジニアリングを総合的に発想することから生まれた独創的で革新的な物作りにあります。自身の工場を持ち、常に職人たちと共に働くことで、手仕事の精神を残しつつ合理的な工業生産の理論、素材へのアプローチによって刷新することを試みたモダニストでもありました。
このエキシビションはヨーロッパ、アメリカの巡回も予定されている日本最初の大規模なプルーヴェ展でした。実際の作品から、それを形にするまでの発想、思考の過程を記したスケッチやデッサン、自身の工場である「アトリエ ジャン・プルーヴェ」や自宅の様子などで構成されており、マーガレットは同じデザイナーとして自らのコンセプトに通じる「機能的で無駄がなく、かつ美しいデザイン」がどのように発想され形となっていったのかまたそれが生まれた環境はどのようなものであったかなどを、大変興味深く堪能していきました。
そして、そこで目にした一枚の写真に強い閃きを得たのです。白いシャツに黒いタイ、トラウザースという、とてもシンプルな服を無造作に着たアトリエ職人である男性3人と、2人のモダンな着こなしの女性が交互に並んだモノクロームのフォト。自然体でありながらインパクトやモダンさを感じさせる着こなしや雰囲気、シンプルで強い構図は、まさにマーガレットがこの秋表現したかったイメージそのものでした。
彼女にとってギャラリーや美術館でエキシビションを見ることは大きな楽しみであり、自らの仕事への着想を得るという大切な時間でもあります。今回のイメージフォトもまた、日本での旅行中に偶然目にしたものから生まれたアイディアのひとつでした。
このエキシビションが開催されたのは、鎌倉の鶴ヶ丘八幡宮に隣接した美術館。その建物はマーガレットが興味を持っている第二次大戦後のモダン建築の貴重な一例であり、窓から四季折々の景色が望める併設のカフェもとても魅力的だったようです。また訪れたその日は天気がよく、潮風を受けながら鎌倉散策をするのには申し分のない一日でもありました。
ジャン・プルーヴェについてのサイトは
+ www.moma.pref.kanagawa.jp/museum/exhibitions/2004/prouve041008b/index.html
+ media.excite.co.jp/ism/061
などがあります。